第2章 人体構造・機能論 4/4
泌尿器系の構造と機能
腎臓について
【腎臓】
・腎臓は後腹膜腹腔内にある1対の臓器
・脊柱の両側で第12胸椎からから第3腰椎の高さに位置。
・形はソラマメ型
・右腎は左腎に比べ半錐体ほど下方にある(個人差有)
・腎臓で尿を作るが、その構造的単位をネフロンといい、副腎皮質内にある腎小体と尿細管から構成される。
【腎小体】
・糸球体毛細血管(糸球体)と、それを含むボウマン嚢から構成
・糸球体に1本の輸入細動脈が入り、内部で毛細血管に分岐し、再び1本のが出ている。
・糸球体毛細血管は前後が動脈である唯一の毛細血管である。
・糸球体はメサンギウム細胞、内皮細胞、基底膜、糸球体上皮細胞、ボウマン嚢上皮細胞から構成。
・濾過機能は、内皮細胞、基底膜、糸球体上皮細胞で構成される。
・糸球体で濾過された原尿はボウマン嚢に貯蓄され、近位尿細管→ヘンレループ→遠位尿細管にながれ集合管に合流する。
・上記課程で原尿の99%が再吸収される。
(例えば、ヒトは1日あたり約170Lの原尿を分泌するが1日の尿量は約1.5Lである)
・メサンギウム細胞は、糸球体の毛細血管の保持と種々の活性物質を分泌して糸球体の機能調整をしている
・血液を濾過して作られた原尿は、蛋白質濃度以外は血漿と全く同じである。
*[腎臓の機能]
●糸球体
1)濾過機能:血液を濾過して原尿お作る。
腎血流量(RBF=renal blood flow) | 1,000mL/分(心拍出量の1/4) |
---|---|
腎血漿流量(RPF=renal plasma flow) | 500mL/分 |
糸球体濾過量(値)(GFR=glomerular filtration rate) | 100mL/分 |
2)原尿は蛋白質濃度以外は血漿とまったく同じ。
3)サイズバリア:分子量の大きな物質は濾過しない(血液や免疫グロブリンなど)。
4)チャージバリア:陰性電荷を帯びるアルブミンを濾過しない。
●尿細管
・ホルモン分泌や活性化作用
①エリスロポエチン分泌:腎臓内赤芽球系前駆細胞に作用し骨髄増血を刺激する。
②ビタミン[TEX:D_3]活性化:腸管、腎尿細管でのCa吸収亢進
・腎に働くホルモン
アルドステロン | Na⤴︎ | K⤵︎ |
---|---|---|
抗利尿ホルモン(ADH=Antidiuretic Hormone) | 水⤴︎ | |
副甲状腺ホルモン(PTH=Parathyroid Horomone) | Ca⤴︎ | P⤵︎ |
①アルドステロン:Na再吸収。K排泄
②抗利尿ホルモン(ADH=Antidiuretic Hormone):水の再吸収増加
③副甲状腺ホルモン(PTH=Parathyroid Horomone):Caの再吸収を促進し、リンの再吸収を抑制する。
●レニン、アンギオテンシン、アルドステロン系
1)レニン:輸入細動脈末端にあるレニン分泌細胞から分泌
①腎輸入細動脈内圧の低下(血流量低下)+
尿細管内の塩素濃度の低下(低位尿細管でのNaCl再吸収の亢進)によりレニンの分泌が刺激される。
② レニン自体に薬理作用はない。肝臓で作られるアンギオテンシノーゲンに作用してアンギオテンシンⅠに変換する役目
2)アンギオテンシンⅠは、尿細管に存在するACE酵素によりアンギオテンシンⅡに変換
3)アンギオテンシンⅡの役割
①細動脈の平滑筋を収縮させて血圧を上昇
②副腎皮質からのアルドステロン分泌を促進
4)アルドステロンの役割として、遠位尿細管に作用してNaの再吸収とKの排泄を促進する。また水も再吸収する。
【遠位尿細管】
・ 遠位尿細管:抗利尿ホルモンにより集合管での水の透過性亢進により再吸収が促進される。
【卵巣】
・卵胞ホルモン(エストロゲン):子宮内膜を増殖
・黄体ホルモン(プレゲステロン):子宮内膜を成熟させ、ちゃくしょうに適した状態に整える。分泌期に分泌される。月海
【男性生殖器】
・精子は精巣上皮で作られ、精管から精嚢へ輸送され蓄えられる。
・興奮により射精管から尿道を通して射精される。
・男性ホルモンであるアンドロゲンの一種であるテストステロンの分泌を行なっているのは精巣(testis)である。